白鳥警部をしのんで
世の中の犯罪者や共産主義という横暴な邪悪から、大切な市民を守り抜く—。 1952年のこの日、こういった信念を貫いて、壮絶な最期を遂げた立派な警察官であった札幌市警の白鳥一雄警部に捧ぐ 。 御霊が安らかに眠りますよう、御心が永劫不変でありますよう祈りたい。
Note from The Feline Warrior: The original author of this poem is unknown; the Japanese translation/adaptation is the work of The Feline Warrior. Edits have been made for spelling, grammar and style.
「彼氏がまた酔っ払ってしまって、家に帰ってからずっと私を殴っている」ー。今日、そうした通報を受けても対応しない。 「普段とても大人しい16歳の娘は今日、放課から四時間過ぎても帰っていない」ー。今日、そうした通報を受けても対応しない。 「店に泥棒が入った」とか「家が盗難に遭った」とか、今日、そうした通報を受けても対応しない。 今日、飲酒運転者を止め、誰かが轢き殺されるのを防がない。 今日、レイプ犯も殺人犯も車泥棒も捕まえない。 「銃を持っている男が子供を拉致しようとしている」とか「人が刺されている」とか「ひどい事故が起こった」とか、今日、そうした通報を受けても対応しない。 今日、車の中に閉じ込まれてしまった子供も、見逃されてプールに落ち込んでしまった子供も、助けてあげない。
いや、今日、そういうことは全部しない。
なぜ? なぜなら今日、高速道路から故障車を押し退けている中、飲酒運転者に轢殺されてしまったのだ。 今日、「テールランプが消えている」と知らせたいだけで車を止めたら、ごく普通な職質で無防備のままに射殺されてしまったのだ。 今日、市民を助けるため現場に向いて緊急走行中、自動車事故に遭って死んでしまったのだ。 今日、悪名高い麻薬密売人を逮捕する際、撃たれて殺されてしまったのだ。 今日、忙し過ぎて暇がない家族の代わり、男の安否確認をしにやってきたが、その男によって殺されてしまったのだ。 今日、銀行強盗、もしくは雑貨店泥棒を止めようと、殺害されてしまったのだ。
今日、職務遂行中、殉職したのだから。
「ご家族の一員は今日、家に戻れなくなりました」と、ある父と母に、ある妻または夫に、もしくはある子供に伝えるために、牧師と同僚は、どこかの家を訪ねてくる。 市民の大多数はその理由を分からないまま、今日、幾つかの警察署は半旗を掲げてくれる。 同僚の皆さんは葬式を執り行ってくれる。私を埋葬しながら21発の礼砲を放ち、葬送喇叭も吹いてくれる。 どこかの街で、どこかの建物の壁にある飾り板に、私の名前が書いてある。 どこかの家の暖炉、もしくは本棚の上に一枚の国旗が置かれて、そこの家庭は追悼していく。
正義を求める叫びはどこでも聞こえずに。 街頭で暴動を起こす人はどこでも見えずに。 デモをしたり、シュプレヒコールをしたりする人波も、「もう何かをしなければ」と大声で喚く市民の姿も、どこにも見られずに。 打ち壊される窓も、燃やされる車も、投げられる石も、耳にする罵声も、どこにも見当たらずに。
今夜、誰かが泣き寝入りすること。 私のことが忘れられていない証拠は、それしか何もない。
私は、警察官だった。